ほろ苦バレンタイン

まだまだバレンタインデーが女の子にとって
男の子へ向けた特別な日であった頃のこと。

中学生だった当時
今のように友チョコという言葉はなかったように思います。
なので、本当に胸の内をほんのり紅く染めながら
女の子たちは2月14日を楽しみにしていました。
もちろん私もそのひとりでした。

お母さんに内緒でこっそりと準備をして
さんざん迷って差出人も書かないで
包んだチョコレート。
スポーツバックに忍ばせてその日を迎えました。
大好きだった隣の席の男の子。
(毎日よく見るごく身近な人を好きになってしまうあたりも
今思えば昭和な香りがします)
下駄箱に入れる?
机のひきだし?
はたまた手渡し・・・これはないな。
と、朝から勉強どころではありません。

ところが・・・思ってもみない展開が待っていたのです。
その頃、
足が速くて(今では信じられないけど)
バスケ部で(今では何も役に立ってないけど)
ショートカット(これだけ今も同じ)
だった、私。
同性からの私に対する形容詞はたいていが
『かっこいい』でした。
そして、その『かっこいい』は大量のチョコレートとなって
やってきたのです。
あっという間にスポーツバックは
頂いたチョコでいっぱいになり、
私の胸の内は恥ずかしさでいっぱいになりました。
女の後輩から廊下や階段でこっそり手渡されるチョコを
さっと隠しながら頂いたパッケージと
その子の名前の組み合わせを忘れぬよう
必死でした。
(何しろ、お返しが・・・)

隣の席の男の子のためのドキドキはすっかり
別のドキドキに変わっていました。

そんなこんなでホームルームが終わった時です。
ふと、私のスポーツバックを見た隣の席の男の子が
目をまんまるにして
「お前!なんだそれ?すごいなあ、女子にもらったの?」
と、小さな声で話しかけてきたのです。
しまった、見つかった・・・と思いながら
「う、うん」とか、曖昧な返事をしていたと思います。
すると
「なんだよ、いいなあ。そんなにあるんだったら俺にも分けてくれよ。」
と。
冗談交じりの思いもよらぬ彼からの提案に
「んーじゃあ、1個くらいなら・・・」と言いながら
自分が彼のために用意してきたチョコをおずおずと差し出したのを覚えています。
「お、まじ?いいの?ラッキー。。」

もうちょっと、ロマンチックな日だと思っていた…
これが、私のちょっぴりほろ苦いバレンタイデビューでした。

今では娘が友チョコなるものを大量に作っては
気軽に配って歩いています。
そんな姿を手伝いながら
内心は「あほ!チョコレートは本命1本で行け!」
とサムライっぽい魂が自分の中でちらほらと
見え隠れしています。

チョコレートひとつとっても自由な時代だなと思います。
でも、友チョコであろうと、義理チョコであろうと
本命であろうとその奥にある贈る気持ちがあれば
それでいいのだろうな・・・。

そんな季節に、
ドリップパックや珈琲ビーンズチョコの
組み合わせはいかがですか?
たまには、ほろ苦い想いを味わうのも人生を豊かにしてくれるアロマ。
そんな風に思います。 (yumi.m)

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